井波

井波（いなみ）は、主に富山県南砺市の旧地名や、その地域に存在する場所・文化を指す際に使われる言葉です。2004年に合併によって南砺市となる前は、東砺波郡井波町として存在していました。富山県南砺市井波に伝わる伝統的な木彫りの技術で、立体感と躍動感あふれる彫刻が特徴です。「宮大工の鑿一丁から生まれた木彫刻美術館・井波」として、井波彫刻の歴史や技術が日本遺産に認定されています。

井波彫刻が始まったのは江戸時代中期の1762年頃です。瑞泉寺の再建の際に京都から派遣された彫刻師の前川三四郎が、地元の宮大工や番匠屋に技法を伝えたことが起源となります。この際に伝授された彫刻技術が発展し、井波彫刻独自の技法として確立されました。瑞泉寺の火災と再建、彫刻師の派遣、技法の伝承がその始まりです。

南砺市井波は、富山県の南西部にある人口約8,000人の小さなまちです。井波地域は600年の歴史を持つ、日本一の木彫りのまちとして知られ、2017年には木彫刻のまちとして日本遺産にも指定されています。まちを歩くと、あちらこちらからノミをふるう音が聞こえ、木々の香りが感じられます。

井波彫刻は、その立体感と躍動感あふれる表現が最大の魅力です。木材の持つ温かみと、熟練の職人技によって生み出される繊細かつ力強い彫刻は、見る者を惹きつけます。特に、寺社仏閣の欄間や獅子頭、現代のインテリアとしても楽しめる作品まで、その幅広さも魅力の一つです。

井波へは、公共交通機関を利用する場合、JR城端線福野駅からバスに乗り換えるのが一般的です。自動車の場合は、北陸自動車道砺波インターチェンジや、東海北陸自動車道五箇山インターチェンジからアクセス可能です。自然豊かな山々に囲まれた、風光明媚な場所に位置しています。